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 同じ頃、ルウディーたちのもうひとりの連れの青年――ダーナディアは、港にいた。  漆黒の髪と瞳の、整った顔立ちの青年である。  しかし、その表情は険しく、近寄りがたい。 (この街に近付くにつれ、獣が騒いでいた。間違いはないはずだ)  ここに、仲間がいる。  それは、確信にも近かった。 (それに、ルウディーの占いがここを示した……)  それこそが、彼の中で予感を確信に変える、最たる要素だった。  港を行き交う人々に視線を遣りながら、共鳴反応がないかと意識を集中させる。  その時、 「……?」  研ぎ澄ました意識の片隅に、ざわりと触れるものがあった。  振り返ると、同じようにこちらを見ている女と目が合った。  
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