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   目覚めた時に見知らぬ天井を見上げることには、慣れてきたつもりだ。  それでも、ここ最近見続けてきた宿の天井とは違う、家庭的な雰囲気に戸惑いを覚えた。 「……あれ……?」  ルウディーが寝ていたのは、少し幅の広いベッドだった。宿のものとは明らかに違う。 「ここは……」  体を起こし、辺りを見回す。  あまり飾り気のない部屋だったが、片隅に衣類やら小物やらが乱雑に積まれているのが目についた。  慌てて片付けたのか、隠しきれずに男物の下着がはみ出して見えていたりする。 「男……あぁ、そういえば……」  確か、意識を失う前に青年に会ったな、と記憶を辿る。  だが、この部屋の主も、自分の連れの少女もいない。  隣の部屋かと、ベッドから降り、扉へと向かう。  微かに話し声が聞こえる。ルウディーを気遣ってか、小声で話しているようだ。  
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