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「あ、ルウ。目が覚めたのね。具合はどう?」  隣室で青年と話をしていたティエナが、扉を開けたルウディーに気付き声をかけてきた。 「もう大丈夫」  ルウディーがそう微笑むと、ティエナは小さく息をついた。 「たしかに、顔色はだいぶ戻ったみたいね……」  ほぼ同じ高さにあるルウディーの顔を覗き込み、確認する。 (オレってそんなに信用ないかなぁ……?)  間近でみつめる少女の様子に、ルウディーはこっそりため息をついた。  すると、 「どれどれ? あ、ほんとだ」  ティエナの横から覗き込む男がいた。  ルウディーが倒れる前に、声をかけてきた青年だった。 「えぇと、ルウちゃん? たしかティエナちゃんがそう呼んでたよね?」 「……『ちゃん』って……」  ニコニコとちゃんづけで呼ばれ、ルウディーは脱力した。  ――が、さらにルウディーの脱力を誘う青年の言葉が続く。 「いやぁ、近くで見ても可愛いなぁ」 「……あのな」  わざとからかっているのかと、ルウディーは軽い怒りを覚えるが、ティエナは傍らでくすくすと笑っている。 「ルウ、倒れる直前のこと覚えてる?」 「倒れる直前? 確か、こいつに声をかけられて……」  こいつ、と青年を見遣り、ふと思い出す。 (そういえば、『お嬢さん』とか……それに、とんでもないことを言われたような……)  確か、『タイプだ』、と――。 「……ティエナ? こいつの勘違い、訂正してないのか?」  口元を引き攣らせながら尋ねると、 「してないわよ」  あっさりと返された。  
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