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「大神くん!?」
咄嗟に月島は叫んだ。
黒斗が叩きつけられたグラウンドの中心は、眼で確認できないほどに陥没していた。
固まった土が壁のようにめくれ上がっているのを見れば、その破壊力は嫌でも想像がつく。
いや、想像もできないほどの力だったのかもしれない。
黒の本質によって衝撃を分散させたために、この程度の破壊で済んだのかもしれない。
この…周囲五○○メートルを破壊し尽くす程度で。
金色の翼を背に携えたエレナは、抱えた月島とともに黒斗が叩きつけられた箇所へと飛行する。
中心付近では、地に降り立つことすらできないほどに、地面は無惨に砕かれていた。
そのさらに中心。深く深く陥没した一部分。
大神黒斗の姿はそこにあった。
「ひっ…!」
「ぅっ…!」
月島が息を呑み、エレナが眼を見開く。
半身が埋まった黒斗の姿はたしかにあった。
が、辺りには確実に致死量を越えた鮮血が散乱している。
黒斗の身体はぐちゃぐちゃと云ってもいいほどで、腕は有り得ない角度で曲がり、脇腹は潰され、口や鼻や耳や眼からも出血が伺える。
そう、“死んでいる”。
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