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ゾクリと、全身を悪寒が駆け巡った。
本能が告げる。次撃を受けてはならないと。
「ここまで押し上げたのにも訳があるんだがな」
身体は上昇を続けようとするのに、ルシフェルの右手が阻み、上から押さえつける力と下から押し上げる力とがぶつかり合って、身動き一つすらとれなかった。
「ちっとばかし本気出すからよ、下手すら木っ端微塵になっちまうのさ」
淡々と語るルシフェル。それは次撃を放つカウントダウンに聞こえる。
異様な危機感が身体を強張らせ、嫌な汗が頬を伝う。
「ここからなら、地面まで距離もあるし、風圧が多少の衝撃を緩和してくれる」
ミシリと、ルシフェルの左拳が奇妙な音を発てた。それが合図となり、まさに“神の拳”が――、
「あとはテメェでなんとかしてみせろ」
放たれた。
空気が吹き飛んだ。
それだけではない。空間そのものが裂けたような気がした。
理解するよりもさらに早く、地面へと叩きつけられる。
破壊力は想定していた以上のもので、土の地面は見るも無惨に破壊し尽くされ、無数に渡った地割れが小学校の校舎を裂く。
エレナは咄嗟の判断で月島とともに宙に飛んだ。
二人がいたベンチ付近までもが、地割れによって地に埋まった。
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