219人が本棚に入れています
本棚に追加
威勢を張ったはいいが、黒斗の身体は震えていた。
そして理解する。
神と魔王の力を取り込んでも、ルシフェルとの特訓で多少の成長をしても、神力帝式との実力差は少しも埋まっていない。
神の如き魔導師。
世界最強の魔導師。
“神の力の一端”。
最高の頂に君臨する男がその気になれば、息をするという当たり前の動作のように、黒斗を消滅させてしまうのだろう。
「ルシフェルさん」
このままではダメだ、と本能で悟る。
奴にはいまのままでは決して勝てない。
悠長に特訓を積むだけでは勝てない。
もっと早く。もっと効率的に。もっと過酷な。もっと強く。
「俺をもう一度、“世界の外”に送り出せますか?」
「不可能じゃねぇが…。なにする気だ?」
黒斗は知った。あの場ならさらに強くなれる理由を。
神と魔王がいる、あの場所なら。
「神と魔王を…支配します」
「……。くっ、ククク、ハッハッハッハッハッ!!言うじゃねぇかガキんちょが。いいぜ、なら――」
ズドンッ――!!と、考えられない激痛が腹部を襲う。
辛うじてルシフェルの拳が腹部に直撃したのがわかった。
「逝ってこい。坊主流のやり方、見せてもらうぜ」
薄れゆく景色の中、ルシフェルがなにやら唱えた。
瞬間、目の前が真っ暗になる。
最初のコメントを投稿しよう!