思惑を持って動き出す者たち

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  とは言うものの、いったいなにをすればいいのか検討もつかない。 銀髪に紫電の眼光。日本人でそんな風貌の人間は少ない。 髪を染め、カラーコンタクトをしているなら有り得なくはないが、そんな格好は今時の若者もしないだろう。 コスプレイヤーとかの類いならまだ有り得そうだが、そもそも黒斗の住む街にコスプレをするようなイベントはない。 つまり、銀髪に紫電の眼光の人間を見つければ、それがブルックの右腕を消した人物で間違いないはずだ。 だが、見つけてどうするというのか。 怒りに任せて殴り飛ばすか? そんなもの、そこらにいる不良と変わらないし、それで解決するわけでもない。 説得してブルックに謝りに行かせるか? そもそも、自ら謝るような奴は腕を消すようなことをしないはずだし、腕が治るわけでもない。 さらに言えばブルックのプライドをへし折ってしまうかもしれない。 いったいなにをすればいいのか。 なにをしても無意味な気さえする。 でも、黒斗はなにかがしたかった。 大切な仲間を傷つけられた怒りは、抑えることができないのだ。  
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