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裁判員のはなし
ちゃらちゃらとした装飾品は残らず取り上げられてしまっているのに、軽佻浮薄な雰囲気は少しも変わってはいなかった。
……彼は、有り得ないとでも思っていたのだろうか。
人の命を容易く二つも奪っておいて、自分だけは死なないと――本気で信じているのだろうか。
俯けた表情はここからは見えず、それでも厳粛な室内に響いた舌打ちだけは耳に届いた。
ああ、やはり――彼のなけなしの善意に成長という未来はないのだ。
実に嘆かわしい。が、その事実に安堵した自分がいた。肩の荷が降りたような気持ちだ。
やはり私は正しい。
正しいのだ、と、罪悪感の上に刷り込んだ。
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