裁判長のはなし

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裁判長のはなし

また買わなければいけない菊の数が増えてしまった。 先月は一輪で今月はこれで二輪目になり、半年後にはもう一輪。 私は四人も殺しているのに、少年のように糾弾されることはない。 罪の意識などかけらもなく、ただ言い訳のように菊の花を買い、腐り落ちていく様を眺める。 それはとても、気が狂いそうな事実だけれど、今更気に病んでも仕方のない事実でもあるから気にしないことにして、そうだたまには食用菊でも買ってみるかと、肴に合う酒の吟味を始めた。
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