三人前の誇りと1%

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「いよいよ走り始めたみたいだね、彼は。【トロパイオン】への“道“を」 「!!」 林檎は驚いたように振り返る。 「・・・・珍しいですね。あなたみたいな人がEクラスの戦に顔を出すなんて」 一度間を置いて林檎は言う。 「“スピット・ファイア“」 「リンゴさんを深夜の散歩にお誘いしようかと。どうです?今夜はいい月ですよ。」 「またまた。いつもそんな・・・・シムカさんの言い付けでお目付けですか?」 「偵察ですよ。それにリンゴさん。僕だけではありません。彼もまた戦場に現れるのはいつ以来でしょう。」 スピット・ファイアがこちらを見る。リンゴも続いて見る。 確かに戦場に出て来たのは・・・2年ぐらい前かな。 「晃君・・・」 「ユニコーンの晃。彼と戦った相手はみな、彼のジャケットのイラスト、ユニコーンしか見れなかった。そう彼を抜いた人物は過去に一人しかいない。その為か、彼のあだ名はユニコーンの晃。」 リンゴはこちらを見つめながら言う。 「青い翼のNo.2、ユニコーンの晃。No.2に上り詰めたのが当時12歳。青い翼はその頃疾風の雅が率いてAクラスまで上り詰める。そして実力が認められジェネシスの配下入り。【疾風の王】雅と【光の王】晃が入り、ジェネシスは頂点になった。しかし、現在青い翼は活動休止中。だよね晃君」 『ああ、まぁ俺はジェネシスの配下に入る事に関しては反対したが・・・No.1が決めた事だ、逆らえないさ。』 俺はニヤリと笑い立ち上がる。 リンゴとスピット・ファイアに近付く。 『それで、スピット・ファイアが偵察に来た理由はなんだ』 スピット・ファイアは目を閉じながら答える。 「彼が【1%の壁】を越えられるかどうか・・・この目で確認したくて・・・・」 一旦間を置き、続ける。 「・・・・けど、どうやら彼には致命的な欠点がある」 『致命的な・・・・』 「・・・・欠点!?」 「彼。とっても下手くそだね!!!」 『ツッコミたいが事実だ』 「・・・・・・・・知ってます・・・・」 俺とリンゴはますます不安になるのだった。
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