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僕にはただ、立ち尽くすことしかできなかった。
浴室からシャワーの打ち付ける音だけが聞こえて来るリビングで、僕はただ呆然と立ち尽くす。
困惑、恐怖、焦燥、そのほかの多大な感情と思考の波が、完全に僕を飲み込んでしまっていた。
やばい
なぜ
どうして
どうする
浮かび上がってくるのは疑問のみ。
しかし捻り出される答えはない。
上手く頭が回らない、どうやら僕はパニックを起こしているようだ。
当然だ、僕は一介の高校生なのだから。
いきなりこんなシリアスな展開とかマジないわ。
しかしパニックを起こすようなことか?
そもそもなぜパニックになった?
当然だ僕は一介の高校生なのだから。
いきなりシリアスな展開とかマジないわ。
しかしパニックを―――
ぐるぐると思考は同じところばかりを駆け巡るのみで全く意味を成さない。
ブ、ダいじょウ夫だ…。
必死に自分にいい聞かす声にさえノイズがかかる。
どれだけの間僕はこうして突っ立っているのだろう、こんなことをしてる場合じゃないのはわかっているはずなのに。
動かない身体がなぜどうしてわからないわからないわからないこんなはずじゃ――――
『わからないなら、無理に理解しなくていい』
とある恩師の言葉。
「……よし」
何度目だろうか、この言葉に救われるのは。アッサリとパニックから脱出できるお得な言葉だ。
ぺたぺたぺたぺた
(とにかく僕がやるべきことは…)
ガチャリと。
背後で扉の開く音がする。
「なあ、私の服はどこだ?」
タオルも巻かずに風呂からすっぽんぽんででてきた(←微妙に動揺)アホに服を着せることだ…
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