ある日部屋の中で吸血鬼に出逢った

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俺の名前は霧宮 真也。 通称『きりみゃー』。 眼鏡の似合うクールな高校一年生だ。 身長に関してはノーコメント。 性格に関しては『いい性格してんなテメェ』とよく言われるので、そこまで悪くはないのだろう。 さて、この日は高校行事、俗に言う『球技大会』が終わり、帰りに友人達とカラオケ三昧。 両親が海外出張なのをいいことに深夜までシャウトし続けた。 鼻で笑う人もいるだろうが、金のない高校一年生の娯楽なんて所詮そんなものである。 そうして精も魂も尽き果てようやく家に帰ってきた俺は、手早く夜食を作ろうとした。 ここで違和感を感じたあなたはただしい。 文法的におかしいとかそんなんじゃなくて。 作ろうとしたのであって、作ってはいない。 体力が尽きたとか面倒くさかったとか材料がなかったとか、そういったことでは断じてない。 ガッシャーン…いや、ドボウ゛ェギャグシャガラガッシャン。 そんな擬音が妥当だと思う。 とにかく、凄まじいまでの騒音が、あろうことか我が寝室から響いてきたのだ。
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