ある日部屋の中で吸血鬼に出逢った

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「人に名前を尋ねる前に、自分が名乗れよ」 「む、それもそうだな。クズにしては頭が働くではないか」 お前の頭がニートなだけじゃいあほんだら。 「我が名は…いいか心して聞けよ?」 「はよいえ時間押してるから」 「なにのだ? まあよい。我が名は…いやちと長すぎるか…略して『リディ』だ!」 「原形がわからねぇよ想像できんよどんな略しかたしたんだよもろ偽名じゃねーか。あと溜めた意味がわからん」 「生まれはドイツだぞ?」 「生まれはドイツ、名前はリディね。で、なんでこんなことしたの? お父さんにちょっと電話しようか?」 「や、やめろパパ上は関係ないであろう……ってまるで万引き犯の取り調べではないか!」 いや、それよりパパ上はないだろ…。 それにしても。 今更過ぎるのだが、コイツ…リディは何者なんだろう。 雰囲気から…なにより壁をぶち壊して(2階だぜ?)来たことから普通じゃないのはわかる。 何にしても、僕の手におえないのは確かだ。 やっぱり国家権力に頼ろう。 ガシッ 「……なぜ階段を降りようとするのだ。まだ名前も聞いておらんぞ」 なんか腕掴まれた。 ジト目で睨めつけてくる恐いでも可愛い…じゃなくて。 「警察呼ぶん…って冷たっ!? お前の手冷たっ!? ってゆうか冷たっ!? むしろ冷たッ!?」 もしかしてずっと外にいたのか? 春とはいえまだ肌寒さも残ってるんだぜ? 夜だぜ? まさか寒さに耐えかねこんな凶行に…!(←混乱のため思考力低下) 「こい。風呂入ってけ」 「ど、どうしたというのだ。臭いか?私臭いか?」 「いやいい匂いだ(←変態)。こんなに冷え切るまで…大変だったろう」 「私は元々体温なぞ…いやそれより。もしかして貴様……いいやつなのか?」 「何言ってんだ、もしかしなくても僕は33.2%の確率で優しいよ。この甘いマスクで幾多の女性を騙してきた」 「おおっそれはすごい…いや待てよ? 危ないではないか…。まあよい好意には肖るとしよう」 ぬふふん、とリディは僕を追い抜き階段をトテトテと降りていく。 …その間に警察呼ぼっと
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