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なるべく普通に見えるように意識して歩行したが、それも外野の声で阻まれる。
「なに。笑わないでよ」
先にオフィスに向かった藤沢が、廊下で美優を見て笑う。
その手には、コーヒーメーカーが握られている。
社に備えられているそれをセットするのは新入社員の役目だが、彼らはまだ忘れがちである。
馴れるまでは気づいた者がやるのが、暗黙の了解となっている。
そんな藤沢はいい先輩なのだろうが、今の美優にとってみれば迷惑な同僚だ。
「だって……。あんた、その歩き方……」
大笑いをしたいのを賢明に堪えるように、それでも荒い息を交えて藤沢が言う。
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