最悪な出会い

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二十四歳の春だった。 桜が散る頃、私も一つの恋を終えようとしていた。 西武有楽町線に乗り、今日も私は出社時刻に間に合うように通勤する。 池袋に着いた頃にははっきりと目は覚めているが、その代わりに歩くのにも苦労するほどの人混みにうんざりする。 満員の通勤電車に揺られ、今日も池袋で乗り換えをし、新宿へ向かう。 山手線は何本電車を乗り過ごしても人が減っていることはなく、諦めてその箱に全身を押しこむ。 それでも入りきらない時は、乗客の背中を駅員が押す。
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