1660人が本棚に入れています
本棚に追加
「お、なんだ。お前風邪は治ったのか」
会社の自動ドアをくぐった途端、今度は脇から声を掛けられる。
「インフルエンザです!!」
美優が叫ぶように宣言すると、上司は驚き一歩後ずさる。
「ちょっと、美優!」
今度は、美優の代わりに藤沢が焦り、服の袖を引っ張って止める。
上司は苦笑いを浮かべてエレベーターへと歩いていく。
「斎藤さんにあたったってしょうがんないでしょ。あんた、来期の査定下げられるわよ」
藤沢の言葉にも美優の怒りは収まることはない。
赤く染めた頬を手の甲で撫で、目に涙を浮かべる。
美優が最近眠れない原因も、これだ。
最初のコメントを投稿しよう!