最悪な出会い

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「お、なんだ。お前風邪は治ったのか」 会社の自動ドアをくぐった途端、今度は脇から声を掛けられる。 「インフルエンザです!!」 美優が叫ぶように宣言すると、上司は驚き一歩後ずさる。 「ちょっと、美優!」 今度は、美優の代わりに藤沢が焦り、服の袖を引っ張って止める。 上司は苦笑いを浮かべてエレベーターへと歩いていく。 「斎藤さんにあたったってしょうがんないでしょ。あんた、来期の査定下げられるわよ」 藤沢の言葉にも美優の怒りは収まることはない。 赤く染めた頬を手の甲で撫で、目に涙を浮かべる。 美優が最近眠れない原因も、これだ。
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