第1章 始まりの日

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楳吻(バイフーン)、アジア中国連合国が開戦当初に開発した二足歩行型ロボット。とはいえ胴体には戦車がほぼそのまま使用されており、脚部はあるもののかなり短く、足は戦車のキャタピラーが使われているため、見た目ではロボットとは判断しにくい。機動性は低いが装甲はかなり強く、通常のミサイルでは全くはがたたないほど。 「なんで連合軍の機体が?」 杏奈は困惑した声で言った。 「とにかくシェルターへ行こう。」 万一の場合に備え、各地域にはシェルターが設置されており、学校には防壁が設置されている。この地域のシェルターは学校のすぐそばにある。 校舎にはすでに防壁が張られ、中に入れなくなってしまったため、僕はシェルターへ行くことを提案した。 「そうだな。」 「そうしましょう。」 僕たちが歩きだしたその時 『ドカーン!』 すぐ後ろで今度は爆発音が聞こた。 「振り向くな!行くぞ。」 後ろを見ようとした2人を僕は制止した。 距離から考えておそらく破壊されたのは校舎だろう。 防壁があるとはいえその強度はたかがしれている。 設置されたのは今から何年も前のことだ。その同時の日本人が今のミサイルに耐えられるような防壁を作れるとは思えない。 無惨な光景を見て動けなくなるくらいなら、見ないほうがましだ。 僕たちは溢れ出しそうな涙をこらえシェルターへ向かった。 よく見るとあちこちに楳吻がいる。 つまり連合軍は本気で日本に攻めてきたということだ。 日本軍は攻撃を開始していた。 しかし楳吻には日本軍の攻撃が全くきかない。 当然といえば当然だ。日本は開戦当初、いやそれよりも前から、軍事面ではなにも変わっていないのだから。
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