第1章 始まりの日

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しかし、そのなかの一発のミサイルがこっちに飛んで来た。 「ふせろ!」 そう言いながら僕は2人を地面に倒した。 ミサイルは僕たちの頭上を通過し、目の前のシェルターを破壊した。 「う、うそだろ。」 慎司(しんじ)が落胆し、杏奈(あんな)は地面に崩れ落ちた。 「なんで、どうしてこんなことになるんだよ!」 僕は恐怖というよりも怒りに震えていた。 僕たちは戦争が、争いあうのが嫌で、平和に暮らしていたくて中立という立場をとっているのに、何もしていないはずなのに、どうしてこんなことをするんだ! そう思った時だった。 〔力が欲しいか?〕 「え?なんだ?」 突然声が聞こえた。 「どうした、まっちゃん?」 「声だ、この声。」 「声?声なんて聞こえねぇよ。」 〔守るための力が欲しいか?〕 「まただ。」 「声なんて聞こえないわよ。どうしたの雅人(まさと)?」 どうやら2人には聞こえないらしい。でもたしかに聞こえる。守るための力・・・。 〔お前は力を欲するか?〕 「欲しい。俺は力が、みんなを守るための力が欲しい!!」 〔よかろう。〕 その瞬間、僕の身体は眩(まばゆ)い光につつまれた。 〔我が力お前に授けよう。〕 光が消えると僕の前には 「メダル?」 そこには五角形の形をしたメダルがあった。僕はそれを手にとった。メダルには剣(つるぎ)が描(えが)かれている。 「なんだそれ?」 「わからない。」 これが守るための力なのか? すると、また声がした。 〔我が力を解放せよ。〕 「え?なんだよ今の声。」 「もしかしてこれが雅人の言っていた声?」 「あぁ、そうだ。」 今度は2人にも聞こえているようだ。しかし、どうすれば力を解放できるんだ? その時、空から一機の機体が僕たちの前に降下してきた。 ぱっと見た感じオレンジ色の機体に似ているが、装甲は灰色だ。 降下しきるとコクピットハッチらしきものが開いた。しかし誰も降りてこない。 僕たちが呆然と立っていると、オレンジの機体が近づいてきた。 《そこのお前、機体に乗れ。》 その機体からの通信だろう、若い男の声がした。 《ソウルを持っているお前だ。》 連合軍がミサイルを撃ってくる。 オレンジの機体は頭部のバルカン砲でミサイルをすべて撃ち落とし、ライフルで楳吻(バイフーン)を破壊した。
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