第2章 戦火の中へ

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「ようこそ。我々の基地へ。」 突然声がして僕は左(3人は右)を向いた。 そこには2人の男がいた。 「俺はこの隊の総司令官の川崎彰(かわさきあきら)だ。こっちは副司令官の・・・・。」 「井上盛彦(いのうえもりひこ)です。よろしく。」 川崎さんに促され井上さんが名乗った。 副司令官の井上さんは丁寧な口調で性格はかたそうだ。 総司令官の川崎さんは井上さんより若く見え、口調はやや砕け気味だ。 2人とも青い服を着ている。おそらく軍服だろう。 「あなたたちは?」 「ここじゃなんだから詳しい事はブリーフィングルームで話そうか。」 「はい。」 川崎さんの言葉に3人を少し見てから僕は答え、2人のあとについて僕たちは格納庫を出た。 基地の通路は思っていたよりも広く、3人が横一列になって歩いても1人とならすれ違うことができそうだった。 僕たちは通路の角にある部屋に入った。 この部屋も思っていたよりは広く20人くらいは入りそうだった。 「さて、話しを始める前にここのパイロットを紹介しよう。とはいっても1人だけなんだがな。」 川崎さんが苦笑して言った。 「入れ。」 その言葉で自動扉が開き青い軍服が見えた。 体格は大人というよりは青年あるいは僕たちに近かった。 部屋に入って来た顔を見て僕は呆然とした。 「大城!?」 慎司がその顔を見て驚きの声をあげる。 他の2人も突然の大城の登場でその場に立ち尽くしていた。 大城がなぜここに?いやそれよりもあのオレンジの機体に大城が乗っていたのか? 混乱する僕らをよそに川崎さんは大城の紹介を始めた。 「“ブラストコマンダー”のパイロット、坂下蒋(さかしたしょう)だ。」 坂下!?大城じゃないのか? 川崎さんの言葉に僕たちはさらに混乱した。 「大城は僕の偽名だ。本名は坂下蒋。」 僕たちの表情を見てとったのか大城、いや坂下がやや無愛想に言った。 「偽名っていいのかよ?」 「入学する上では問題ない。」 「そ、それは・・そうだけど・・・・。」 その言葉に慎司は言葉を詰まらせる。 「なんだ坂下、知り合いか?」 「ええ、まぁ。」 坂下は川崎さんにも無愛想だった。 「さて、なにから話そうか?」 川崎さんが僕たち4人を見渡しながら言った。 「・・・・・まず、あなたたちが何者で、“ソウル”とあの機体が何なのか教えてください。」
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