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誰からかかってきてるか、どこからのものか検討がおよそつくので気分が塞いだ。
「いつものようにしといたから」
と話し終わりに、先輩の口から。アヴィンはほっとした。
今ではどこから誰がかけてくるのかも会社の全員が知っているので、そのように対応してくれているのだ。アヴィンは「ありがとうございます」と微笑んだ。
数ヶ月後、社内にまた匿名の電話がかかって来た。アヴィンはドキッとした。何せ匿名の電話に出るのは初めてだったから…。
「そちらの会社にアヴィンさんと言う人いませんか。匿名ですみませんが、その人の実家が大変なことになっているので、会って状況をお話ししたいのですが…」
アヴィンは多分自分の身が危ないことを悟って、こう言った。
「海に行きました。南の海の海底で珊瑚礁見学とか言って休みを取っています」
「…!そうか」
ガチャン
そう言って電話は杜撰に切られた。
思いつきで、でも自分の職場とは遠くて検討も着かない場所へ誘った。
その頃のウルト村(匿名の電話をしていたところ)では
「皆の衆、アヴィンは南の海で珊瑚礁見学らしい」
一同騒然。
「おぉ!そこに行けば会えるのだな」
「南の海!、珊瑚礁見学!」
一同、手に酸素ボンベと巣潜り服をかかげて
「そうか、南の海、珊瑚礁見学か!」
「いいか、海馬に刻み付けろ!!」
「刻み付けろ!刻み付けろ!」
と言いながら村を後にし、南の海めがけて走り出した。ドドドドド!
アヴィンは海に行ったと言っておいたのでしばらく探すのに時間がかかるだろうと思い安心していた。
が、
1日後、社内に匿名の電話がまたかかってきた。
「え?」
出た者は疑問から戸惑いを隠せない。
実際の電話はこれだ。
スコーーーゴボゴホゴボゴホ…アヴィンハ…?
スコーゴボゴボゴボ…
…こ、恐い…!!
なんと匿名の電話は自分達の住んでいる地上とは違うところからかけられているらしいことが分かった。
「酸素ボンベ?…そんな音がしてましたよ」
電話に出た同僚のマーティがアヴィンにそう言って来た。
アヴィンはそれを聞いて、あの村の住人の気持ち悪いほどの執着ぶりを感じて気味が悪かった。
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