0人が本棚に入れています
本棚に追加
マイルは「そうか」と不満そうな顔をしてグラスを握る。
アヴィンは一段落着いたかと、遠くを見ていたが、次の瞬間、
「そうそう、忘れてたけど…」
アヴィンは何かと思い、マイルの方に顔を向ける。
マイルは続けて
「田舎のじい様とかの状況知ってる?」
とアヴィンが一番聞いてほしくないことに触れて来た!
アヴィンは目を丸くしそうになったが、堪えて
「…じい様たちは遠い昔に離れてからは何も連絡取ってないから知らないな…」
アヴィンはそう一言言って、席を立とうとした。
が、
ガシッ!
行こうとする腕を掴まれて重心を無くしそうになりながら何とか体勢を整える。
「まだ終わっちゃいないよ…じい様たちは君のことをすごく心配してたよ」
と悪魔のとりついたような恐ろしい顔でマイルが言う。
アヴィンはあまりの事態に目をしかと瞑る。
こいつは会社の人や周りの人には親友だと言うことになっているが、それは本当の素性を隠すための嘘なのである。
いつもアヴィンを慕って来ているドジでマヌケな奴だという印象は見ただけだった。
だから刺すときはとことん刺してきて、動きを封じられたりということもあるわけだ。
最近の村からの襲撃がやんだと思って安心していたが、こいつの存在をすっかり忘れていた。
今をもって、逃げられない、監視されているという状況は変わってないということを知る。
「…まぁ、それならじい様たちはどうなってるか聞こうか?」
と言って、話の流れがおかしくないように話を切り返した。
マイルは手をぱっと放して、にこっと笑う。
「そう、そうこなくちゃ」
マイルはそう言って話を始める。
その話は5分くらい続いたが、いくらか情報は入って来た。
何でもここ最近村では大規模な地震が起こって、犠牲者など被害が深刻になっているらしい。
他にもレミュラスが遠方に出かけていてみんなで帰りを待ちわびているとか…
それてここ3ヶ月くらい音沙汰がなかったのにはそういった戦力を削ぐようなできごとが重なってのことだったらしい。
まぁ変な妄想めいた信仰をしている村人たちだが、1人ではなにもできない哀れ者ばかりということだ。
あれだけ変な追いかけ方をしておいて、神様が許すわけないかとも頭の片隅で思う、アヴィンであった。
最初のコメントを投稿しよう!