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「ちょっと安心した?」
マイルが顔をのぞき込みながらそう言う。
アヴィンは「まぁな」と答える。
しばらく二人とも黙り込んで時間が経つ。
「マイル君、ケーキ頼みに行こう?」
とマイルの友達の同僚が言う声がすると、マイルも返事をしながら席を立って他所へ行った。
アヴィンはマイルの情報からして、しばらく村の人間が動きがとれないことを把握し、しばらくはリラックスして、次に村の襲撃があったときに備えようと思うのだった。
宴会に没頭していくと、楽しい盛り上がりの同僚たちやビンゴゲームなどをしてあらゆる表情を見せながら時間が過ぎて行った。
「おはよー」
次の日、アヴィンはいつものように会社に出勤し、仕事をしていたが、匿名の電話はかかって来なかった。
今のこの時期しか仕事に没頭できないと決め込んで、精魂込めて資料を仕上げていった。
「アヴィンさん、お茶いかがですか?」
と同僚の女の子が話しかけて来る。
「ああ、いただこうか」
とアヴィンは返事をして、その子が去るとまた仕事に熱中した。
昼休憩、また一人でベンチに座ってくつろいでいると、向こうからマーティが近づいて来た。
「やぁ、アヴィン」
「おお、マーティ。元気か?」
話しが始まる。
「最近、何か顔色良くなったね。何かあった?」
「まぁな。お前こそ彼女とうまくいって顔色良さそうじゃないか?」
「うん、彼女ったらこの間…」
マーティの恋愛話を聞いたり、自分の私生活の楽しかったことなどを話して盛り上がった。
が、
「アヴィン、あれから電話かからないね」
マーティが思い出したように、匿名の電話の話をする。
アヴィンは一拍置いて
「ああ、あれはしばらくないから大丈夫だ」
と答える。
マーティは微笑んで
「なら良かった」
と言う。
そういえば、アヴィンは自分だけの戦いだと思っていたが、よくよく考えてみれば、周りの人たちもアヴィンを守ることに一役買ってることを思わされた。
ああ、みんな心配してくれていたんだと思うと何だか感謝に堪えない思いが沸き上がって来る。
アヴィンは
「ありがとな。色々助けてくれて」
と礼を言う。
マーティは微笑みながら
「いえいえ、困ったときはお互い様だから、いつでも頼ってね」
と優しく言ってくれた。
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