32人が本棚に入れています
本棚に追加
.
――別に、小説を見せるのが恥ずかしいからじゃない。
中学の頃は、毎日小説の話をして、そっちのけで小説を書いていて、小説を書くことが生活の中心だった。
――でも、今は違う。
小説と勉強を両立できるほど愛美は器用な性格ではなかったし、成績も中の中くらいで、一日中、小説のことを考えるほどの余裕もなかった。
「大人っていうのはぁ、」
愛美はペンをまわしながら独り言を言う。
――やらなきゃいけないことと、やりたいことが要領よくできる人のこと。私にはできないや。
.
最初のコメントを投稿しよう!