プロローグ

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. ――別に、小説を見せるのが恥ずかしいからじゃない。 中学の頃は、毎日小説の話をして、そっちのけで小説を書いていて、小説を書くことが生活の中心だった。 ――でも、今は違う。 小説と勉強を両立できるほど愛美は器用な性格ではなかったし、成績も中の中くらいで、一日中、小説のことを考えるほどの余裕もなかった。 「大人っていうのはぁ、」 愛美はペンをまわしながら独り言を言う。 ――やらなきゃいけないことと、やりたいことが要領よくできる人のこと。私にはできないや。 .
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