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手紙はここで終わった。
僕にはまるで何か理解できなかった。あまりの内容に気が動転していたのだろうか。気づけば息を吸うのを止めていた。
はっと部屋の籠もった空気を吸い込む。息苦しさを感じるが、不思議と窓を開く気にはなれなかった。
部屋に訪れる静寂。
ただひたすら時を刻み続ける秒針の音だけが世界の鼓動を教えていた。僕は動けなかったのだ。
そこに、かたん、と寂しげになる我が家の郵便受け。
振り向いた。
そして取りに行く。
ああ、どうして気づかなかったのだろう。体は拒絶したじゃないか。
郵便受けの戸を開く。
外の明かりが射し込んでいた。
書かれていたのは、ただの一文。それも一つの質問。
――アナタは、我が儘な女は好きですか?――
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