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少年は振りほどこうと相手の腕を掴んで力を込めるが、細く見える相手の腕は鋼のように硬く、ピクリとも動かなかった。
それどころか、頭に込められる力がますます強められていく。
ミシミシとありえない音が自分の頭から聞こえてきた。
「アァァァァァァ!!」
雄叫びを上げながら少年は目の前の相手の腹部を思いっきり蹴り上げた。
だが、それでも相手は微動だにしない。
それどころか、壁を蹴ったような硬い反動が少年の足に返ってきただけだった。
『……大人しクシろ』
マントの奥から、相手はくぐもった声を響かせた。
発音に奇妙なクセがあり、ひどく聞きにくい。
それが一層恐怖を駆り立てる。
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