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少女が手を一振りすると、指先から光が伸びた。
光は地面に当たるとそこで弾け、そのまま花の形に固まった。
少女が両手を広げると、周囲に無数の光の花が咲いた。
花はどれもが淡い輝きを発し、無数の花びらが風に舞い上がって、ひどく幻想的な光景だった。
それを見ただけで、少年は今までの悲しみも忘れ、その不思議な力に魅了された。
『これが魔乖咒(マカイジュ)の力よ』
少し得意そうな少女に向かって少年は尋ねた。
自分もその力が使えるのかと。
少年の言葉を聞いた少女は、少し面食らった様子だった。
『え? あなたにもできるか? そうね。がんばれば、できると思うわよ。あなた才能がありそうだし』
ならば少年の答えは決まっていた。
少年はすっかりその力の――いや、少女の虜となってしまったのだから。
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