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『ん? 魔乖咒を教えてほしいの? そうね、いいわよ。あたしがこの街にいる間だけだけど、それでいいなら教えてあげるわ』
少年は喜んだ。
新たな力が手に入ること、美しい少女とこれからも会えること、どちらも嬉しかった。
『じゃあ、授業の第一歩よ――まず、あたしのことはこれから先『先生(マイステリン)』って呼ぶのよ。わかった?』
マイステリン。
ドイツ語で『先生』という意味だ。
少しはにかみながら少年が『先生』と呼びかけると、少女は少年以上に顔を赤くした。
『うわ、恥ずかし……けど、イイわ、イイ感じよ』
照れながらも嬉しそうな少女を見ていると、自分の胸の中に温かなものが広がってくるような気がした。
そうして少年と少女の、二人だけの秘密の会合は続けられていくことになるのであった。
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