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「なんなんだよ、あいつは、いったい」
信じられない、少年の内心はその想いで一杯だった。
少年は逃げながら、つい先ほど、街中で見かけた光景を反芻した――それは異様な二人だった。
全身をマントとフードで覆い隠した、奇妙な風体の二人。
その二人が街のど真ん中で戦っていたのだ。
だがそれはただのケンカではない。
二人は宙を舞い、手から炎や稲妻を出しながら街中で破壊の限りをつくしていたのだった!
手品ではない、どう見ても超常現象としか思えない光景だった。
なにより奇妙なのは、そこは街中にもかかわらず、他人の姿がまったくないということだった。
いくら日も沈み、辺りが暗くなる時間とはいえ、街の中心部に人がいないというのは異常だった。
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