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作業も一息ついた。
「恭子さん、コーヒーと紅茶どっちが良いですか?」
「う~ん、どっちでも良いわぁ。」
洗い場の上の戸棚を開ける。
あっ…、昨日使いきってたんだった。
「すいません、紅茶きらしてました。」
「なら、コーヒーで大丈夫よぉ。」
「コーヒーは砂糖二杯のミルク三杯で良いんですよね?」
「うん、ありがとぉ。」
コーヒーを差し出す。
自分のマグにも、コーヒーを注ぐ。
ミルクが沢山入ったコーヒーはみるみる、白くなっていく。
「聞いて下さいよ。最近、前の夫から電話がかかってきて困ってるんですよ。」
「あらぁ、大変ねえ。他に女が出来たんじゃなかったのぉ?」
「なんか、逃げられた見たいですよ。」
コーヒーをすする。
「勝手ねぇ、ここの事知ってるんだっけぇ?」
「そうなんですよ。それが、怖いんですよね。頭に血が昇ると…
「あらっ、これ。」
急に、恭子さんが話を遮る。
「ほら、これ向かいのマンションじゃなぃ?」
テレビにはワイドショーが流れ、見慣れた建物を映している。
「あっ。」
確かに、お向かいのマンションだ、歩いて三分もしない。
テレビの中では、真面目そうな、中年男性が淡々と喋っている。
「昨夜22時30分頃、ΨΥ区マンションで女児が一人殺害されているのが発見されました。」
「えっ。」
二人は声を合わせる。
「女児が一人で家にいた時に犯行が行われたと考えられており、また犯人は捕まっていません。
この手口は先月、隣の∀Å区で起きていた事件。
女児三名、男児二名の被害を出した、連続児童殺人事件と酷似している為、警察は関連性を捜査中との事です。」
あの、マンションには剛志の同級生もすんでたはず…。
「怖いわねぇ。真智子さんも気をつけなさいよぉ。」
真面目に他人事ではない。
「本当ですよね。気をつけます。」
「さぁ、コーヒーも飲み終わったし。次はアクセサリーよぉ。」
恭子さん、速っ。
コーヒーを一気に飲み干す。
「はっ、はい。」
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