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「だとするならば、尚更愚行だな。自身の寝床に毒蛇を放す様なものだ、喉元に噛み付かれるかもしれないぞ」
「なればな、愚行ついでにもう一つ付け加えるならば、お前を雇うのは私達ではない」
その言葉を理解できていないエッジを知ってか知らずか、武官の男は続けた。
「お前を雇うのはテオドラ・エリクシール殿下だ」
暫しの沈黙──その後、エッジは額に手を当て低く笑い出した。
「クックックッ、馬鹿馬鹿しいな。俺の雇い主がテオドラ・エリクシールだと?一国の王女様とはいえ年端も行かない子供が、御大層にも私兵を持とうなんて言うのか?」
エッジの指摘通り、エリクシール王国の王女テオドラ・エリクシールは大国であるこの国を見事な手腕で統治し、民からの絶大な人気と支持を持っているとは言えど、まだ12歳の幼さである。
先代の国王である父親ローウェン・エリクシールが突然、急死したのは昨年の事。唯一の子供であったテオドラが11歳の幼さで大国エリクシールの指導者に成らざるを得なかった。
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