物語の始まり

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「確かに王女殿下は12歳とまだまだ幼い事は紛れも無い事実。しかし、ラインハルトさん。あなたもこの国に住んでおられるならお分かりのはず、王女殿下の指導者としての統率力・判断力・人望、何れも並外れた物をお持ちになられているのです」 そう。当初、エリクシール国内に於いても幼い王女テオドラが即位し政治を行うなど不可能だと多くの者が考えていた。 『一体誰が王女の隣で実権を握るのか──』 その一点を巡り、一時は内紛状態になりそうな不穏な空気すら流れた──。 しかし、現実は違った。王女テオドラは即位するや否や、万人の心配が夢幻だったかの様な才能を発揮した。 国王の急死、内紛の気配と激動の中で疲弊し始めていた国内を僅か1年で纏め上げ、持ち直させてみせたのだ。 「だが、所詮は年端も行かない子供だ。本質は変わらない。私兵なんてのは子供に持たせるには危険過ぎる代物だ」 そして、ハッキリと告げた。 「俺は断る、絶対にだ。この考えが変わることも無い、他を探せ」
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