はじまり

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  「私も木曾の子。父上の子です――覚悟はできております」 「……義高」  それを打開すべく打ち出されたのは義仲の十一になる嫡子、義高を人質として鎌倉へ差し出す事であった。 「義高よ」 「はい」 「――誇りを常に」 「……はい」  しかし、ただの人質として終わらせない。  頼朝の姫、大姫との表向きな許婚は、義仲にとっても頼朝の懐を探る機会となる――義高に動向を探らせる間者の任を課したのだ。  こうして、儚く悲しい恋物語が始まったのである。  
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