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「マック…!なんでこんな!」
普段は冷静で1ミリの歪みも見せないマックの表情からは焦りの色が見て取れた。
そして彼からも漂ってくる鼻をつんざく異様な匂い。
それは、返り血の乾いた匂いやなくて、
「マック、か、肩、、、」
今まさにマックの左肩からドクドクと流れているものだった。
「こんなん掠り傷や」
そう言って肩を押さえたマックは、一瞬痛みに顔を歪めた。
掠り傷やなんて、誤魔化すにも程がある。
「アーセナル、」
僕が狼狽えてるのを余所に、マックはアーセナルの前にしゃがみこんだ。
「、、マックごめん…そんなつもりや…」
「えぇから、」
マックを目の前にしたアーセナルは大きな目を更に見開いて口から溢れるのは謝罪の言葉。
「っ俺が…俺のせいや…」
頭を抱えて嘆くアーセナルに、マックは更に悲しそうな顔をして、
小さく「ごめんな」と呟いた。
次の瞬間アーセナルの鳩尾にマックの拳が入り、アーセナルは意識を手放して倒れ込んだ。
「マック!何してん…!」
「すまん、でも…」
今までに見たことの無いようなマックの表情に、僕は押し黙ることしか出来なかった。
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