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「アーセナル…大丈夫?」
なるべく驚かせないように…慎重に…慎重に…。
目の前にいる小さな彼の心は、きっと誰よりも繊細やから。
「……ガ…ム……」
「そうやで…」
ひんやりとした手が僕の手を微かに握り返したのが分かった。
「…今…何時?」
「今?んーと…3時ちょっと過ぎたくらいやな。寝直せる?」
夜中に怪我人を起こしとくわけにもいかないし、今は休ませるのが一番。
「御要望があれば、ガム特製おやすみミルクも作るで~」
ふざけて言ってみると、思いの外優しく微笑んだアーセナルは、ゆっくりと首を振った。
「ええ…ありがとう…ずっとガムが居てくれたん?」
「お礼を言われる程のことちゃうよ。僕が勝手に心配しただけやから」
本当にただ心配で仕方がなかったから。
独りにさせたくなかったから。
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