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「俺は…同じことを繰り返してもうた」
同じこと…それは、今からもう20年以上前のこと…?
僕の知らないアーセナルのこと?
「目の前で母親を撃たれた。しかも俺をかばってやで?アホやろ…」
生々しい過去に耳を塞ぎたくなる。
「直後には目の前が血の海やし…もう怖くて…きっと俺もその時頭おかしなってもうたんやと思う……そんで気が付いたら、銃を持っとった。ガキのくせに何か出来るわけでもないのに…」
「…アーセナル…」
「今日みたいに発狂して、使ったこともない銃で相手にありったけの弾を打ち込んで…」
「もういいよ、アーセナル」
「しかも…俺が殺した相手………父親やってんで……もう、わけわからんやろ…」
「もうええから…!」
「いっそのこと…何も知らないまま、殺して欲しかった…っ」
見開かれた目からはボロボロと涙が零れ落ちた。
それでもまだ口を開こうとするから…、
僕は無意識にアーセナルを包み込んだ。
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