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伸ばされた手に素直にグラスを乗っけたら、自然と見えたジョニーの指。
あ…、絆創膏。
ゲッ…俺がかじったとこ。
ちょっとやで?
ちょっとだけ反省をこめて、優しくグラスを渡そうとしたら。
向こうはいつもの投げるくらいの勢いと想定していたらしく。
まさかの空振り。
ひっくり返ったグラスは綺麗に絆創膏が張ってある右手の人差し指に引っかかった。
「……痛っ、」
しかも俺の飲み残したどぎついアルコールの液体が一緒に流れる。
「っ、めっちゃ染みるねんけど、くっ」
あぁー…やってもうた。
俺は自然と苦笑い。
「へへ…ごめん」
悪戯に謝る俺を見て、ジョニーが許してくれるはずもなく、カウンターから出てきたジョニーに腕を強く引かれた。
「うわっ、ちょ、どこ行くねん!」
「消毒して絆創膏張り替える」
「そんなん一人でやれや!」
俺が吠えてるのも無視して、ジョニーに手を引かれるままバーをあとにした。
「……何が起きたんやろ?」
「じゃれてるだけやろ、どーせ」
背中にアーセナルとガムの声だけが虚しく聞こえた。
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