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こいつ、えいとが母親のもとに帰って以来ずっとこんな調子で抜け殻状態。
「そんなめそめそすることか?根暗なるぞ」
「エースには関係ないやろ」
人が心配してんのに。
「だって、たかが赤ん坊一人やろ」
半ば腹いせに吐き捨てたこの一言で、場の空気が一瞬で凍りついた。
「たかが?何言ってんの?」
粉々のグラスを放置したまま立ち上がったジョニーはバーカウンターを出た。
「…最低やな自分」
「あ?」
「そっかー、エースは最後まであんまり仲良くなれてへんかったもんねー」
「っ…うっさいわ」
嫌に言い返してくるジョニーに軽く頭に血がのぼる。
「赤ちゃんって正直やから、優しい人がわかるんやで。エース?」
「しつこいで、お前」
「わかってないみたいやから教えてあげてんのに」
そう言って睨んできたジョニーに、怒りを抑えきれず胸ぐらを掴みあげた。
「おい、喧嘩売ってんちゃうよな?」
「どうせエースには分からんよ、俺の気持ちなんて」
今までに見たことのない顔をして、胸ぐらを掴んだ俺の手をグイッとひねり上げた。
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