『ハリネズミ君の証』

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ハリネズミ君には、友達が一人もいません。 握手したくても、一緒に遊びたくても、森の皆は、ハリネズミ君のトゲトゲが、痛そうで怖くって、誰も友達になってくれないのです。 『トゲトゲよりも、お友達が欲しいよ』 ハリネズミ君は、今日も一人ぼっちで、丸まっています。 そこへ、イノシシ君がやって来ました。 ハリネズミ君は、 『お友達になってくれるのかな?』 わくわくしながら、丸まっていました。ところがイノシシ君は、 『がぶっ』 ハリネズミ君に噛み付きました。 『痛い!栗じゃなかったのか?』 イノシン君は、赤くなった口をフーフーして、 『お前なんか飛んじゃえ』と、ハリネズミ君を、ツノで突き飛ばしました。 突き飛ばされたハリネズミ君、お空を飛んで、 『すぽっ』 何かに入ってしまいました。 『ここはどこだろう?』 まだ、ぐるぐる回る目で、周りを見ると、栗だらけです。 何とハリネズミ君、栗拾いをしている、人間の、お祖父さんの背負ったカゴに、すっぽりと、はまってしまったのです。 ハリネズミ君の力では、カゴから出られません。そのうち、ハリネズミ君は、ウトウトと、眠ってしまいました…。 『何だか暖かいな』 ハリネズミ君は、目を覚ましました。そのうち、暖かかったのが、どんどんと熱くなって、 『熱い!熱いよ!』 ハリネズミ君は、夢中で走り回りました。 今度はハリネズミ君、お祖父さんに栗と間違えられて、たき火に入れられてしまっていたのです。 『ありゃ、栗が走っとる』お祖父さんも、目を丸くして驚きました。 たき火で焼かれたハリネズミ君、すっかり走り疲れて、また、ウトウト…。 『お母さん、焼き栗が落ちてるよ』 リスの親子です。 『もうすぐ冬じたく、お家に持って帰りましょう』 リスの親子に運ばれてるとも知らずに、ハリネズミ君は、ぐっすりです。 『少し食べても良い?』 リスの子どもが聞きました。 『少しだけよ』 お母さんリスは、ハリネズミ君を、前歯で、 『カプッ』 『痛い!』 驚いたのは、ハリネズミ君。けれど、もっと驚いたのは、リスの親子です。 『私たちを驚かそうとしたのね?』 リスのお母さんは、怒って、ハリネズミ君を追い出してしまいました。
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