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「…お前まさか全員の事把握してんの?」
俺は谷を訝しんで見ると慌てて彼は首をふった。
「まさか!さっき話したり、風の噂でだよ」
「噂さえも俺は知らないけど」
「お待たせしました。レモン酎ハイと梅酒です」
店員が持ってきた酒を谷に渡し梅酒を口につけた。
「藤崎は噂とか興味なかったしな…いつも独りだから俺は心配で心配で」
「お前は母ちゃんか」
谷のわざとらしい心配の仕方に俺は軽く突っ込んだ。
「まぁ、元気そうで安心したよ。同窓会初だろ?」
俺は黙ったまま頷いた。谷は嬉しそうに笑ってまた俺の皿に適当に焼き鳥やら乗せた。
※※※※※※※※※※※
「ありがとうございましたー」
外に出ればまた寒々しい空気に頬が痛かった。
「藤崎はもう帰るのか?」
「あぁ、谷は奥さん待ってんだろ?」
谷は恥ずかしそうに笑いながらタクシーを捕まえるとまだ騒いでいる同級生達に手をふった。
「藤崎も帰るなら乗ってくか?」
「いや、電車まだあるし。早く帰ってやれよ」
「悪いな」
谷はタクシーに乗り込むとさらっと帰って行った。
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