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翌朝 かっこう うぐいすの鳴き声で 目が覚める
ベッドから起き 一階に降りると 母が 大きなおむすびを きれいに並べていた
準備が整い 外にでた
真夏だというのに ヒンヤリした空気が 体を包み込む
快感
空を見上げる
木々の間には 真っ青な空
今日も快晴
4人は車に乗り込んだ
出発進行
山道をクルクル回り ほどなく 木曽川の上流に着いた
「ここにしよう」
父が橋の上に 車をとめた
私と妹は 橋の横にある階段から 川原に降りた
黄色がかった丸い大小の石が ゴロゴロ
足元に 気を付けながら川まで 小走りで行った
深さがわからないくらい 澄んだ水
川底には川原と同じ石が 敷き詰まっている
その中に
『飛んでください』
と 言わんばかりの 程よい間隔で 大きな石が 埋まっている
ほらほら
ハイハイの頃から ちょこまか していた妹が ピョンピョン 飛び始めた
「コラーッ」
父が 必死な顔で 怒鳴りながら
足元が悪いせいか 足は 襟巻きトカゲのような がに股
首に 大きなカメラをぶら下げ
片手でカメラを押さえながら
そうそう
当時は デジカメでも コンパクトカメラでもなく
一眼レフ(?)
みたいな
でっかいカメラ
「勝手に行ったら危ないやろ」
父は妹に手を差し伸べた
妹は
「ええっ」
と しぶしぶ 父の手を取った
2人は手をつなぎ
父のもう片方の手は 相変わらず 首からぶら下がった 大きなカメラを 胸元で 押さえている
歩幅の合わない2人
「あああ...」
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