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絶叫とともに 2人の動作が スローに見える
父が妹の繋いだ手を振りほどき
2人はバランスをくずし
大きな石を挟み
左右に倒れていく…
「カメラ!!!」
父の最強の叫びに私のスローな時間が 現実へと戻る
「わぁ~ん だから お父さんと手繋ぐの 嫌やったのに~」
妹は川の中で尻餅をついて 泣き叫んでいる
私は妹を見ると同時に父も見た
父は 両足を水面から突き出し
やはり川の中で尻餅をついている
が
足よりも高く
真っ直ぐ伸びた腕に気付く
その真っ直ぐ伸びた腕の先には…
なんと
あの大きなカメラ
まるで勝ち誇ったように 輝いている
さっきまで 首からぶら下がっていた紐は
今は 腕に垂れ下がっている
今だに あの力の入った 父のガッツポーズをこえる人を 見た事がない
母は
「親子二代やね」と言いい
2人の着替えの Tシャツと 下着のパンツを出した
「あれ?短パン忘れたみたい…」
母が言った
父は
「天気いいから すぐ乾くわ」
と言い
大きな石の上に
自分と妹の短パンを並べて置いた
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