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「………」
「………」
「………」
「………」
「…………………うわぁっ!!?」
「あ、起きた?」
「な、なにしてんですか?勝手に人の部屋入って…っていうか、人の寝顔見るなんて悪趣味っすよ」
「いやいつも早起きの君が、中々起きてこないから心配になって」
「あ?……あー…もうこんな時間か、昨日ちょっと血が出て……疲れてたからすっかり寝ちゃったんですね」
「怪我したのかい?どこに?」
「主に腹、ですかね…ドラゴンにやられて」
「らしくないね」
「色々あったんすよ……そういえば、あの魔女さんと話しましたよ」
「フェルトさんと?面白い人だろう、少し恐ろしいけどね」
「なんだか興味を持たれた感じでしたよ、私が死にそうな怪我をしても平気だったのが琴線に引っかかったらしい」
「あぁ、成程。確かにフェルトさんは君を研究したがるかもしれないね。魔力を溜め続けられる不死の体があれば、彼女は転生しなくて済む」
「はぁ……転生、ね。何が楽しくてそんなに生きていたいんだか」
「君だって、生きていたいんじゃない?」
「──…別に、今は、もうどうでもいいっすよ」
「どうでもいいのかい?」
「そう。どうでもいい。今の私はアンタの為に生きているだけですから」
「僕は生きていてほしいな、まだ、君を知らないから」
「私を知りたいんですか?」
「そうだね、暇つぶし程度には」
「……心配しなくても、まだ時間はたくさんある。生きてますよ。老いて死ぬ、その時までね」
「そうですね。老いて、死ぬんですよね」
「死にますよ。例え他の人とは流れる時間が違ってもね」
「君は、どうして僕と同じにならなかったんだろうね」
「……さぁ。そんなの──神のみぞ知る、じゃないですか?」
神、と言ったら彼はけらけら笑っていた。
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