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ー場転ー
お喜美
「あっはっはっはっ!」
弥彦
「まさかこいつににおまんま要求されるとはおもわなんだろう」
お春
「あんたなかなかいい器してんじゃん」
小姫
「……//」
お喜美
「あんたらそんな苛めなさんな
なぁ……ー?(小姫に振ろうとするも名前が出ず)…えっと、こんお子ん名前は…?」
弥彦
「おぉ
そうだった、そういえばまだ名前をきいとらなんだ」
小姫
「あ…
私、小姫(アズキ)…
ちいさいひめと書いて、アズキと読むんだけど…」
弥彦
「アズキか!
良い名だ!
遅くなったがわたしは、弥彦(ヤヒコ)
こっちがお喜美(オキミ)でこっちがお春(オハル)」
お春
「宜しく!」
お喜美
「ウチの事はお母はん呼んでもろても構わへんよ~」
小姫
「え…っ?
あの…」
お喜美
「無理しはらんでも
慣れたらでええどすよ」
小姫
「うん!」
ー場転ー
小姫
「………」
弥彦
「寝れんか?」
小姫
「お兄さん…」
弥彦
「厠(かわや)から帰ったら寝床におらなんだから探してしまったよ」
小姫
「ごめんなさい…」
弥彦
「謝ることはないだろう
…して、何を見ておった?」
小姫
「お空を…」
弥彦
「…
まだ、降っておるな」
小姫
「多分、当分止まないんじゃないかな…」
弥彦
「?
何故そう思う?」
小姫
「…ねぇ
お兄さんは、狐の嫁入りって知ってる?」
弥彦
「あぁ、空が晴れているのに、雨が止まないという…」
小姫
「あれね、
あの雨は、狐の涙なんだって」
弥彦
「……」
小姫
「晴れているのに雨が降るのは
嬉しい時の涙だからなんだって」
弥彦
「じゃあ、今は、悲しい涙なのかも知れないな」
小姫
「疑わないの?」
弥彦
「何がだ?」
小姫
「私、お兄さんの言っていた事と違う事を言ってるんだよ?」
弥彦
「狐も神の一種と祀られていたからな
わたしからしたら、どちらも同じよ」
小姫
「お兄さんってさ
何か子供っぽいよね」
弥彦
「お前に言われとうないわ」
小姫
「………
…私ね、
結婚しなくちゃならないんだ…」
弥彦
「いやなのか?」
小姫
「………」
弥彦
「だから逃げてきたのか…」
小姫
「多分、この雨はね
私のせいなんだ…」
弥彦
「それは
困ったな…」
小姫
「ごめんなさい…」
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