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ー場転ー
小姫
「はむっ
はむっ」
お喜美
「どや?
ウチのお父はんが作らはった羊羮どすえ?」
小姫
「美味しい!」
お喜美
「せやろ?
ウチのお父はんはな羊羮作らせたら天下一やて
沢山あるさかい、どんどん食べ?」
小姫
「うんっ」
お春
「もう、お喜美さんスッゴい溺愛っぷりだね」
弥彦
「あぁ
あいつは元々子供がすきだからな」
お春
「…ねぇお兄」
弥彦
「何だ?」
お春
「あのさ…
何でお喜美さん子供もうからんのか、きいてもいい」
弥彦
「まぁ、体質かな」
お春
「体質?」
弥彦
「初めの子が、事故で流れてしまったんだよ
あいつ、それは自分を責めてな
やっと気を落ち着けて
二人目を授かったんだが、一人目の流産が、癖になってしまったらしくてな…それも流れてしまったんだ」
お春
「そうなんだ…」
弥彦
「お喜美はあれ以降子を持たなくなった
もう、子を流すまいと
だから、今あいつが子と笑っていられるのはあいつにとっての奇跡なんだよ」
お春
「小姫ちゃんさ、
この家にきて良かったね!」
弥彦
「あぁ、そうだな…。」
ー場転ー
小姫
「………」
弥彦
「また此処に居ったか」
小姫
「ごめんなさい」
弥彦
「わたしはお前をいつ責めたか?」
小姫
「ううん!」
弥彦
「だったらもう謝るなよ?」
小姫
「…」
弥彦
「わたしは、お前に感謝をしているのだよ」
小姫
「え?」
弥彦
「お前が来てから、お喜美が怒らなくなった」
小姫
「……ぷっ!」
弥彦
「コラ!何故(なぜ)笑う」
小姫
「だって…っ
お兄さん子供っぽ…っクスクスっ」
弥彦
「わたしが言っているのはそういう意味では無くてだな~…!
…まいいや
相変わらず雨は降っちゃいるが
久しぶりに、綺麗なお月さんが見れた事だしな」
小姫
「………(微笑み」
小雪
「見付けましたわ。」
弥彦
「誰だ!?」
小姫
「あなたは…っ」
小雪
「お久しゅうございます、姫(ひい)さま」
小姫
「小雪(コユキ)…」
弥彦
「知り合いか?」
小姫
「うん…
あの子は、狐の…」
小雪
「さぁ
暁(アカツキ)様がお待ちかねですよ
早くお戻りになって下さい。」
小姫
「い…や…っ」
弥彦
「雲が…
…小姫、心配するな。
わたしがお前を辛いめに合わせたりはしない」
小姫
「お兄さん…」
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