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弥彦
「………」
お喜美
「あの人がああしとるせいで…
何や、日がえろうつまらんようかんじますわ…」
お春
「そうですね…
何か、足りないような…」
ー場転ー
暁
「よくぞ戻って参った!
余はどれだけお前の事を待っていたか!」
小姫
「暁様には大変御心配おかけして申し訳無く
なんとお詫び申したら良いか…」
暁
「良い良い!
お前が今、此処にこうして居ることでその事は水に流してやろう!」
小姫
「寛大なお心持ち誠にありがとうございます…」
暁
「では、余は式の準備をして参る故しばし席をはずすぞ」
小姫
「…はい
いってらっしゃいませ…」
小雪M
「あれ以来
姫さまの笑顔を見る事が無くなった…
いや、あの人間と居たときの笑顔…
あれは今までも見たことは無かった…
今までも、今も、私たちに見せるは、曇った悲しい表情…」
小雪
「私は…
私の行動は正しかったのでしょうか…」
王
「悩んでおるな」
小雪
「王!!
も、申し訳ありませんっ」
王
「いやいや、良(ヨ)いよ
して、小雪よ、ワシは思うに…世の中は成るようにしか成らんて
お前の行動も定めよ」
小雪
「それはどういう…」
王
「世の中は成るようには成るのじゃよ」
小雪
「…?」
王
「ホッホッホッ
解らずとも良いわ
後も先も運命じゃ、ワシらは大人しくそれを見届けようではないか」
小雪
「……
…はい」
ー場転ー
弥彦N
「雨が降る
強く…
厚く黒い雲の中からボタボタと、止めどなく流れてくる…
それを眺めていると、
何故か、胸が、苦しくて…」
お喜美
「いやですよって!
あんた何を泣いてはるんどす!?
何かあったんどすか!?」
弥彦
「泣いて…?」
お喜美
「ほらもう
手拭い!お顔拭いて下さいな」
弥彦
「そうか…
ずっと泣いていたんだ…」
お喜美
「は?
今気付きはったんどすか?」
弥彦
「あぁ
今気付いた!」
お喜美
「ちょっ!
あんた!どこ行かはるんどす!?」
弥彦
「迎えにいって来る!」
お喜美
「ちょっ
あんた!!
傘もささずに!!
……もうっ!!」
お春
「お兄どうしちまったんだろう…?」
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