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17歳の正月、初詣で私はそんなことを願った。
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10年前、家庭内暴力で施設保護を受けた。
翌年に両親が離婚。
父方の祖母にたらい回しの後、預けられて厳しく育てられた。
沙依は祖母に育てられたことについてはなにも違和感はなかった。
ただ、学校では"捨てられた"と学年中からいじめられた。
沙依は完全に人間不信になり、祖母以外の人間に心を閉ざした。
沙依は小学生で不登校になりはしたが、祖母が家庭教師を雇ったり、暇をもて余すことがないように色んなことを教え、諭した。
ただ、傷付いた心は癒されることはなく…
かなりひねくれた性格に変わってしまった。
そして、17歳の春、桜が咲き誇る公園で出会う。
…この朱い鳥と。
「……未確認生物?」
「…いやいや、もっと可愛らしい反応しようよ」
私が大切なものに気付くきっかけをくれた奴との出会いだった。
「…さぁ、今から幕末いくから」
「…は?」
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