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そして、不穏な音は突然に鳴り響く
留置場が地下である事が関係するのか、カラカラ、カラカラと金属を引きずる音がこだまする
ユウは目をゆっくりと開け、何が来るのだろうとぼんやり思っていたが
メイヴはビクビクと肩を震わせていた、地下であるがゆえに音が反響、微妙に見えるか見えないかのギリギリラインの薄暗さ
怖がりでなくても恐ろしいと感じたところで何の疑問もない
実際のところ、メイヴはお化けなどは全然ダメなのだが
しかし、現れたのはお化けでなく人間、男、金属の音は軽いアルミ製の椅子を引きずっていただけ
歳は30前後といったところ、えらく胸元には神々しい勲章が引っ付いている
「お偉いさんが、何でこんなところに来ますかね、ヤバ気な雰囲気プンプンだしね」
「ユウ・アリサカ、色々と噂は聞いてるよ、'悪い'のばかりね」
椅子を置き、ドカリと座り込み、足と腕を組む、まさに現場主義者といった態度
「ははん、そりゃあ、ご光栄ですね」
「身元を調べさせて貰ったよ、面白いな、君は、12年前に失踪、6年前に再び出現、'6年間'何してた?」
「色々と、気にしないでいいよ、めんどくさいしね」
「トライエッジ計画」
途端、ユウの眉が吊り上がり、人間程度なら軽く殺しかねない程、目の前の男を睨みつけた
「てめぇ、何がしてぇんだ?」
「単刀直入に言わせてもらうよ、君には管理局員になってもらいたい」
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