テラー/誰かの思い

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突然の申し出に、ユウは一瞬だけ呆気に取られたが トライエッジ計画、という単語を持ち出しきた事が裏を感じさせ、冷静になるまでさほど時間はかからなかった メイヴは口をハニワのように開けたままだったが 「良いのかよ?留置場にぶち込まれている男を公務員にしていいのか?」 「何を言っているんだい?此処は留置場ではないよ、'檻で仕切られているだけの'面接室さ」 「………お前…、いつから俺を監視していた?」 「君が魔導ランク試験を申し込んだ日からさ」 だとすれば、ユウはここ二ヶ月監視されていた事になる しかしまだ腑に落ちない件が一つ、あれほどピッタリしたタイミングで事件が起こった事についてだ 裏取引を持ち掛けるために、俺をSランク魔導士で取り押さえさせたのならば 最初から準備していた事になる 「まさか……あの銀行強盗も…」 「やはり、君はウチに欲しい人材だ、頭の回転が早い、良い捜査官になれる」 「てめぇ…」 「勘違いして欲しくないなぁ、死人は出ていないし、私達は彼らの襲撃の日にちを少しばかりずらしただけだよ」 裏で何をしたかは全くわからないが、正に黒幕といった雰囲気にユウは警戒を強める 目的がわからなさ過ぎる、次の手が出せないのだ 「嘱託魔導士として、依頼しても良いが…お金に困っているのだろう?」 「だから管理局員か?お前、俺に何をさせたいんだ?」 「何をって、決まっているじゃないか、事件を解決して欲しいのさ、とても大きい事になりそうな'事件'をね」 その時、ユウの頭の中では警告のアラートが鳴りっぱなしだったが 逃げるすべもないので、あきらめかけていた
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