78人が本棚に入れています
本棚に追加
中には怒り狂った男を馬鹿にした目で見ている奴らもいる
メイヴもそういう事をわかっているらしく、男を見据えるが、それは怒りではなく謝罪の眼差しだった
しかし、男がそれを理解出来る精神状態ではなく、メイヴの目線にすら怒りを覚え
「何見てんだ!!この野郎が!喧嘩売ってんのか?!!あぁ?!!」
「主が怒る理由は解る、しかしユウには当たらんでくれんかの、選ばれたのはユウのせいではないからの」
「何かしなけりゃてめぇらみてぇな奴らが第6課に選ばれるんだよ?!!」
「ユウも我も何もしておらんよ、何度も言わすでない、選ばれたのはユウのせいではない、主が選ばれなかったのもな」
「この……ッッ!!」
男は拳を振り上げる、メイヴは振り上げるタイミングを計っていたのか、男の懐に入り込み、拳を止める
そのおかげで抱えられていたユウはぶっ倒れたが
メイヴは周りの人間に聞こえぬよう、男の耳元で囁く
「もう止めろ、主が此処で怒り狂ったところで、それほど強くもない連中から笑われるだけぞ」
「あぁ?!!それで俺の気持ちが…!!」
「おさまるわけないのは解る、我がユウだってそれぐらい理解している、それで提案じゃ、最終日の模擬戦で決着つけぬか?」
「模擬戦だぁ?」
「そうよ、模擬戦よ、しかも最終日は執務管達が見学に来るらしいぞ、そこで力を見せれば良かろう」
男はその言葉に同意したのか、拳を引き、メイヴと言葉も交わさず去った
息を吐き、メイヴはユウを抱え上げる、緊張したのだ、男の魔導ランクはかなり高く、本当なら6課に入ってもおかしくないレベルだからだ
「悪いのぉユウ、あぁするしかなかったのだが…」
ホントに悪そうにメイヴはユウに謝った
「良いしね、しゃーねーよ、ああいう熱血一点張りはああするしかないしね」
それを聞き、メイヴは微笑み、ユウの頭を撫でる
「ユウはああいう熱血漢が気に入っておるのだろう?」
「俺には無いからな、熱血的な所が、無いものねだりさ」
そう言いながらも、ユウはどことなく楽しそうに明日の模擬戦を考えていた
最初のコメントを投稿しよう!