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「クリスマスツリー、見に行かへん?」
椿のやつがそう言い出した瞬間に、僕はもうその日の予定を空けることに決めていた。
そしてクリスマス当日の今日、僕たち4人はクリスマスツリーを目指して電車に乗っている。
ガタンゴトン、と電車が軽快な音を立てて走る。
車内の広告はクリスマスカラーに染まっていて、混雑している車内の人達の顔も楽しげに見えてくる。
そんな人達のなかで、ひときわ楽しげに関西弁を喋っているのが今回のツリーイベントの主催者、椿。
「でな、その時思ってん、
これドーナツやろー!って。
なあ、あれは焦ったよなあ、柳?」
ぼーっとしていたところに話を振られた僕はとりあえずコクコク頷いた。
「えー、なにそれ!うちも食べてみたいよー!
椿きゅん今度連れてってー?」
と、椿と同じぐらい楽しげに、椿のことを椿きゅんと呼んでいるのは楓。
椿と楓は手のつけられない程のバカップルで、お互いのことを「楓たん」「椿きゅん」と呼び合っている。
また、いつでもどこでもハイテンションな林家ペー○ーみたいに夫婦漫才を繰り広げれるという特技を併わせ持つ。
「もちろん!
今度は楓たんも桜も一緒に行こうや!」
「やったー!
もちろん、椿きゅんのおごりだよね?」
「なんでやねん!
お前モデルの仕事でおれよりよっぽど稼いでるやろ!
むしろおれらがおごってほしいぐらい?
なあ、桜?」
「うん。楓ちゃん、よろしく。」
「いやあー!まさかの逆襲ー!!」
と、楓を撃沈させたのが桜。
バカップルの椿と楓、
おっとりした桜、
そしてジミー柳と言われている僕、柳の4人は同じ大学の一回生である。
入学当初から仲良くなった僕たちは、いまや知る人ぞ知る(?)『森林4人組』。
誰が名付けたのかは知らないけれど、なるほど何故かみんな木にちなんだ名前だ。
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